🌿漢方の基礎

ホーム / 🌿漢方の基礎
漢方を勉強するイメージのリス

漢方の基礎 ― 漢方は「からだ全体」を見て考える

漢方を理解するために、まず知っておきたいことがあります。それは、漢方では「病名」だけで人を見ないということです。

現代の漢方診療でも病名や検査結果は大切です。そのうえで漢方では、体力、冷え、熱、疲れ、血のめぐり、水分のバランスなど、その人のからだ全体の状態を見ていきます。

気・血・水

漢方の基本には「気・血・水」という考え方があります。

気:生命活動を支える働きや、からだを動かす力などを考えるときに使う概念です。

血:現代医学の血液と完全に同じではなく、からだを養うもの、全身に栄養を届けるものとして考えます。

水:からだの中をめぐる水分を表す漢方の概念です。

気・血・水は、それぞれ別々ではなく、お互いに関係していると考えます。

陰陽 ― からだを「対」で見る

陰陽(いんよう)は、自然界やからだの状態を、対になるものとして捉える考え方です。

たとえば、明るい/暗い、温かい/冷たい、活発/静かなどがあります。

大切なのは、「今、この人はどちらに傾いているのかな?」とバランスを見ることです。

寒証と熱証

寒証(かんしょう)と熱証(ねっしょう)は、冷えが目立つ状態なのか、熱が目立つ状態なのかを見る考え方です。

寒証のイメージ:冷えやすい、寒がり、温めると楽、手足が冷たいなど。

熱証のイメージ:ほてる、暑がる、顔が赤い、熱感があるなど。

ひとつの症状だけで決めるものではなく、からだ全体を見て判断します。

虚証と実証

「虚」と「実」は、からだの力が不足している方向なのか、病気や症状に対する反応が比較的強い方向なのかを見る考え方です。

虚証のイメージ:疲れやすい、体力が少ないなど。

実証のイメージ:体力が比較的ある、症状が強いなど。

「太っている=実証」「痩せている=虚証」という単純な話ではありません。

表と裏

表(ひょう)と裏(り)は、病気や症状がからだのどのあたりにあるのか、という位置関係を見る考え方です。

ざっくり言えば、表はからだの比較的外側、裏はからだの内側というイメージです。

五行 ― 自然とからだのつながりを見る

五行(ごぎょう)では、自然界を「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けて考えます。

五行は現代科学の「元素表」のようなものではありません。昔の人が、自然と人間の変化を整理するために使った考え方と捉えるとわかりやすいでしょう。

五臓 ― 「肝・心・脾・肺・腎」

漢方では、からだの働きを「肝・心・脾・肺・腎」という五臓で捉えることがあります。

漢方の「肝・心・脾・肺・腎」は、現代医学の臓器そのものと完全に同じではありません。たとえば漢方の「脾」は、現代医学の脾臓だけを意味するものではなく、食べ物から必要なものを取り出し、からだを養う働きなど、幅広い機能をまとめて考えています。

「証」って何?

「証(しょう)」とは、「今のその人のからだの状態を、漢方のものさしでまとめたもの」と考えるとわかりやすいでしょう。

「冷えていて、体力が落ちている」「気が不足している」「血のめぐりに問題がある」など、状態を組み合わせて、その人の現在の状態を考えます。

同じ症状でも、漢方薬が違う理由

たとえば「頭痛」という症状でも、冷えが強い人、肩や首がこっている人、疲れていて体力が落ちている人、のぼせや熱感がある人など、背景が違うかもしれません。

だから漢方では、「頭痛に何を使う?」だけではなく、「この人の頭痛は、どんな状態から起きている?」と考えます。

漢方では「四診」でからだを見る

四診(ししん)には、望診・聞診・問診・切診があります。

望診:顔色、体つき、動き、舌などを観察します。
聞診:声や話し方、呼吸などを聞いたり、においなどを確認したりします。
問診:症状だけでなく、睡眠、食欲、便通、冷え、汗、生活などを尋ねます。
切診:実際にからだに触れます。代表的なのが脈診と腹診です。

漢方の基礎をひとことで言うと

漢方は、「病名だけを見る」のではなく、「その人の今の状態を見る」ことを大切にする医学です。

そのために、気・血・水、陰陽、五行、五臓、寒熱、虚実、表裏、証など、さまざまな「ものさし」を使います。

最初から全部覚える必要はありません。まずは「同じ症状でも、その人によってからだの状態は違う」と覚えておけば大丈夫です。