婦人科

月経前症候群

げっけいまえしょうこうぐん

病気について知り、必要な治療を確認したうえで、漢方をどう考えるかを一緒に整理していきます。

🌿 この病気について

🌿 この病気は?

月経前症候群(PMS)は、月経前の黄体期に精神的・身体的な症状が現れ、月経が始まると軽快・消失する状態です。日本産科婦人科学会は「月経前3~10日の黄体期のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義しています。

症状の強さや種類には個人差があり、軽い月経前の不調から、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼす状態まであります。精神症状が強い場合は月経前不快気分障害(PMDD)を考え、既存の精神・身体疾患が月経前に悪化する月経前増悪(PME)との区別も重要です。

🔎 主な症状

代表的な症状には、乳房の張り・痛み、下腹部の膨満感、頭痛、疲労感、腰痛、むくみ、体重増加などの身体症状と、気分の変動、イライラ、怒りっぽさ、落ち込み、不安、集中しにくい、眠気・睡眠の変化、食欲の変化などの精神・行動面の症状があります。

症状が仕事・学校・家事・趣味・人間関係などにどの程度影響しているかも重要です。

🩺 診断

診断では、症状の種類だけでなく「いつ始まり、いつ軽くなるか」という月経周期との関係を詳しく確認します。症状の強さ、周期性、再現性、日常生活への影響を確認し、必要に応じて症状日誌を用います。

日本産科婦人科学会の2025年指針では、正確な評価には前向きな症状記録が望ましく、少なくとも2周期程度の記録が診断の参考になります。一方、1回の記憶に基づく問診だけではPMEなどとの区別が難しいことがあります。

このページや簡易漢方診断は、PMS・PMDDの確定診断を行うものではありません。

⚠️ 鑑別・注意点

PMDD:精神症状が強く、生活機能への影響が大きい場合に考えます。

PME(月経前増悪):うつ病、不安症、双極症などの既存の精神疾患や、糖尿病、喘息、てんかん、頭痛などの身体疾患が月経前に悪化する状態に注意します。

そのほか、月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫、甲状腺疾患など、月経前後の症状として現れる別の病態も症状に応じて考えます。月経と無関係に症状が続く場合や、症状のパターンが変化した場合は、PMSだけと決めつけず再評価します。

🏥 受診の目安

症状が強く、仕事・学校・家事・人間関係などに支障がある場合は、婦人科・産婦人科への相談を考えます。

特に、強い抑うつ、不安、パニック症状、自傷・他害、希死念慮、重度の生活機能障害がある場合は、精神科・心療内科を含めた専門的な評価を優先します。

月経周期との関係が崩れている、月経後も症状が続く、既存疾患の悪化が疑われる場合も、PMSとして自己判断を続けず医療機関で相談することが大切です。

💊 一般的な治療

治療は症状の重さや種類、生活への影響、本人の希望などを踏まえて選択します。

日本産科婦人科学会2025年指針では、症状日誌を用いた疾病教育・症状モニタリング、生活習慣指導、運動療法、食事療法、認知行動療法などの非薬物療法が示されています。

薬物療法では、OC・LEP、精神症状が主体の場合のSSRIなどが検討されます。頭痛や腹痛などの痛みには鎮痛薬、浮腫には利尿薬が検討されることがあります。治療は医療者と相談して選択し、標準治療を漢方薬だけで置き換えないことが重要です。

🌱 生活習慣・セルフケア

規則正しい睡眠、バランスのよい食事、適度な運動、ストレス管理やリラクゼーションなどを生活の中で整えます。

月経と症状の関係を把握するため、月経日と症状の発症時期・強さ・生活への影響を記録します。アプリやカレンダー、簡単なメモでも構いません。

運動や食事については研究がありますが、特定の方法や量がすべての人に有効と確定しているわけではありません。無理のない範囲で続けられる方法を選びます。

🍵 漢方の位置づけ

漢方薬はPMS・PMDDに対する標準治療の代替ではなく、症状や体質に応じて検討する選択肢の一つです。

日本産科婦人科学会2025年指針のCQ106では、当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸を中心に用い、抑肝散・抑肝散加陳皮半夏なども考慮するとしています。一方、PMS・PMDDそのものに直接適応を持つ漢方製剤はなく、臨床効果の検証も十分ではないと記載されています。

そのため、疾患名だけで一つの方剤を決めず、漢方医学的な体質・状態や随伴症状を確認しながら候補を考えます。

🧭 漢方を考えるときのポイント

学会・作成団体:日本産科婦人科学会 女性ヘルスケア委員会
ガイドライン名:月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針
発行日:2025年3月31日
URL:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/PMS_PMDDshishin.pdf

🔬 漢方のエビデンス・根拠

当帰芍薬散:最も虚証タイプ。やせ・色白、冷え、虚弱体質、頭痛、めまい、肩こり、浮腫傾向などを特徴として指針に記載。

加味逍遙散:不定愁訴の代表処方。血管運動神経症状と精神神経症状が混在する場合に使用できると記載。

桂枝茯苓丸:より実証タイプ。瘀血症状が強く、冷えのぼせ、軽度の精神神経症状、下腹部の抵抗、腹部膨満感などを使用目安として記載。

抑肝散:情動・自律神経系の安定化を目的として用いられる漢方薬として説明され、PMS/PMDDでも使用が考慮されています。

抑肝散加陳皮半夏:抑肝散に陳皮・半夏を加えた処方で、慢性化したストレスに伴う胃腸機能低下や食欲不振がある場合の特徴が指針に記載されています。

これらは「候補の特徴」を示すもので、質問回答から自動的に第一選択を決めるものではありません。

📖 ガイドライン上の漢方区分

日本産科婦人科学会「月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針」2025のCQ106では、漢方治療について当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸を中心に用い、抑肝散・抑肝散加陳皮半夏なども考慮するとしています。

同指針は、漢方薬の臨床効果について十分な検討がなされていないこと、PMS・PMDDそのものに直接適応のある漢方製剤はないことも明記しています。

KCPGは原CPGの漢方記載を抜き出した資料であるため、疾患ページでは原ガイドラインの位置づけを優先し、KCPGの情報を方剤順位に変換しません。

📌 参考ガイドライン

2026-09-19

🍵 この病気に関連する漢方

この病気に関連して、資料に記載されている漢方薬を紹介しています。症状や体質、漢方医学的な状態などを確認しながら考えていきます。

🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

病気と治療の基本を知ったうえで、「自分に合う漢方薬を探してみたい」と思ったら、簡易漢方診断で症状や体質を整理してみましょう。

このツールは、病気そのものを確定診断するものではありません。回答内容から、漢方を考えるための参考情報を整理します。

🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

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