黄耆建中湯 98

黄耆建中湯おうぎけんちゅうとう【98】

🌿 この漢方を一言で言うと

小建中湯を考えるような冷えや腹痛に加えて、汗をかきやすく、体力の低下も気になるときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

太陰病期の虚証

📖 解説

虚弱さや発汗を伴う不調に適しています。
この処方を考える目安として、体力虚弱で、疲労しやすいという体質・状態に、腹痛、冷え、汗をかきやすい、体力低下などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「腹痛」「冷え」「汗をかきやすい」「体力低下」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

小建中湯を考えるような冷えや腹痛に加えて、汗をかきやすく、体力の低下も気になるときに適した漢方です。 体質や症状の組み合わせを踏まえて、処方全体として考えることが大切です。

🧩 方剤構成からみた特徴

黄耆建中湯は、桂皮、生姜、大棗、芍薬、甘草、黄耆、膠飴の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、桂皮(発汗・解熱、芳香性健胃、駆風などを目的として用いられる生薬。漢方では感冒、身体疼痛、腹痛などを含む多くの処方に配合される。)、生姜(発散・健胃・鎮吐などを目的に用いられる)、大棗(補養・緩和などを目的に用いられる)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

出典として「金匱要略」が記録されている処方です。古典では処方を症状や体質などと組み合わせて考える枠組みの中で用いられてきました。現代では、製品としての使用にあたっては、該当する承認・添付文書等の情報を確認することが大切です。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025では、「黄耆建中湯」を処方名として扱った記載があります。対象として記載されている例には、OD (起立性調節障害)があります。ただし、推奨やエビデンスの強さは対象となる病態やガイドラインによって異なるため、「KCPGに記載がある」ことだけで、この処方がすべての症状に有効と判断することはできません。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

この処方を使うときは、まず添付文書の用法・用量と使用上の注意を確認してください。特に、次のようなポイントは知っておくと安心です。

【甘草を含む処方】
甘草を含む漢方薬を長く使ったり、甘草を含む漢方薬をいくつも重ねたりすると、低カリウム血症を伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。むくみ、血圧の上昇、体重増加、手足のだるさ、筋力低下、足がつるなどの変化があれば、服用を続ける前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

また、他の漢方薬や生薬を一緒に使っている場合は、同じ生薬が重なっていないか確認しましょう。治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、自己判断で使い続けず、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。症状が続く場合や、いつもと違う症状が現れた場合も相談しましょう。

主な注意ポイント:甘草

こんな症状に適しています

腹痛/冷え/汗をかきやすい/体力低下

出典

金匱要略

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

桂皮 3-4、生姜 1-2(ヒネショウガを使用する場合 3-4)、大棗 3-4、芍薬 6、甘草 2-3、黄耆 1.5-4、膠飴 20(膠飴はなくても 可)

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力虚弱で、疲労しやすいものの次の諸症: 虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ、湿疹・皮膚炎、皮膚のただれ、 腹痛、冷え症

色・におい・味

色
淡灰白色
におい
特異なにおい
味
苦くて甘い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。