神経

不眠症

ふみんしょう

病気について知り、必要な治療を確認したうえで、漢方をどう考えるかを一緒に整理していきます。

🌿 この病気について

🌿 この病気は?

不眠症は、寝つきにくい、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めるなどの睡眠の問題があり、それによって日中の生活や体調にも支障が出る状態です。

日本睡眠学会では、慢性不眠障害を、慢性的な入眠困難または睡眠維持障害に日中の機能障害を伴うものとして説明しています。

🔎 主な症状

主な症状は、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める、眠った感じがしないなどです。日中には、疲労感、倦怠感、集中しにくい、注意力や記憶力が低下したように感じるなどの不調を伴うことがあります。

🩺 診断

不眠症は、睡眠時間だけで決めるのではなく、どのような睡眠の問題があるのか、どのくらい続いているのか、日中にどのような支障があるのかを確認します。日本睡眠学会が紹介する診断基準では、症状が少なくとも週3回、少なくとも3か月続く場合は慢性不眠障害とされます。睡眠日誌などを用いて睡眠・覚醒の状態を確認することもあります。睡眠時無呼吸など別の睡眠障害が疑われる場合には、睡眠専門医による評価や睡眠検査を検討します。

⚠️ 鑑別・注意点

不眠の背景には、うつ状態や不安、ストレス、身体疾患、服薬、アルコール・カフェインなどの嗜好品、睡眠・覚醒リズムの乱れなどが関係することがあります。また、睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠・覚醒障害など、不眠症とは別の睡眠障害でも眠れないことがあります。いびき・睡眠中の呼吸停止、夜間の脚のむずむず感、極端な夜型、強い日中の眠気などがある場合は、別の睡眠障害を考えます。

🏥 受診の目安

眠れない状態が続いて日中の生活に支障がある場合は、医療機関への相談を考えます。強い日中の眠気、居眠り運転につながるような眠気、睡眠中の呼吸停止や大きないびき、脚の強い不快感、気分の落ち込みや不安が強い場合などは、不眠だけとして自己判断せず相談することが大切です。睡眠薬を使用している場合も、自己判断で急に中止せず、医療機関や医療者に相談します。

💊 一般的な治療

治療では、まず不眠の原因や併存する睡眠障害・身体疾患・精神疾患などを確認します。日本睡眠学会の「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」では、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)の有効性が示されており、睡眠薬の長期使用者の減薬にも役立つとされています。薬物療法を行う場合は、不眠症状のタイプ、年齢、合併症、併用薬などを考慮して薬剤を選択します。ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などがありますが、特に高齢者では転倒・認知機能などの副作用に注意します。

🌱 生活習慣・セルフケア

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間だけでなく睡眠休養感も重要とされ、睡眠環境、生活習慣、嗜好品なども睡眠に影響するとされています。適度な運動、朝食、就寝直前の夜食を控えること、就寝前にリラックスすること、眠気が訪れてから寝床に入ること、規則正しい生活などを見直します。眠れないことを気にしすぎて長時間寝床にとどまることも避けます。

🍵 漢方の位置づけ

漢方薬は、不眠症そのものに対する標準治療の代わりとして考えるものではありません。

KCPG2025 H1では、睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドラインにおける「不眠症」に対して、漢方薬は「科学的根拠がなく、行うよう勧められない(C2)」と整理されています。

そのため、不眠症ではまず原因の評価、生活習慣の見直し、CBT-Iや必要な薬物療法などを優先します。そのうえで漢方を検討する場合は、併存する症状や漢方医学的な体質・状態を含めて慎重に考えます。

🧭 漢方を考えるときのポイント

不眠症では、まず「寝つけない」「途中で目が覚める」「朝早く目が覚める」のどれが中心か、どのくらい続いているか、日中にどのような支障があるかを整理します。そのうえで、ストレス、気分の落ち込み・不安、身体症状、いびき・呼吸停止、脚の不快感、生活リズム、嗜好品、服薬などを確認します。漢方を考える場合も、不眠の型だけでなく、神経の高ぶり、疲れやすさ、精神不安、冷えなどの随伴症状を含めて考えます。

🔬 漢方のエビデンス・根拠

一般用漢方製剤製造販売承認基準では、桂枝加竜骨牡蛎湯、酸棗仁湯、甘麦大棗湯などに不眠症の効能・効果が記載されています。これらは承認上の効能・効果を示すものであり、KCPG2025 H1が不眠症そのものへの漢方治療を推奨していることを意味しません。抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、柴胡加竜骨牡蛎湯などについても、患者の症状や体質に応じた関連情報として扱い、不眠症だけを理由に一律に選択しません。

📖 ガイドライン上の漢方区分

「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」では、不眠症に対する漢方薬の有効性は確認されておらず推奨されないとされています。KCPG2025 H1でも同じC2の位置づけが確認されています。一方、KCPGには抑肝散について原発性不眠症患者を対象とした小規模なオープン試験、抑肝散加陳皮半夏について健常者を対象とした生理研究が収載されていますが、不眠症への有効性を確立するものではありません。したがって、研究情報があることと、疾患治療として推奨されることは分けて扱います。

🍵 この病気に関連する漢方

この病気に関連して、資料に記載されている漢方薬を紹介しています。症状や体質、漢方医学的な状態などを確認しながら考えていきます。

抑肝散

関連症状・体質に応じた候補

KCPG2025 H1には原発性不眠症患者を対象とした小規模なオープン試験が収載され、睡眠指標の一部やQOL関連症状の改善が報告されていますが、推奨度は示されていません。一般用承認基準には不眠症の記載があります。

神経の高ぶり、イライラ、精神不安などの随伴症状を含めて考えます。不眠症そのものへの標準治療の代替にはしません。

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抑肝散加陳皮半夏

関連研究あり・参考候補

KCPG2025 H1には健常成人を対象とした生理研究が収載されていますが、不眠症への効果は不明とされています。

不眠症そのものへの効果を期待して一律には選択しません。

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柴胡加竜骨牡蛎湯

関連症状・体質に応じた候補

KCPG2025 H1では不眠症そのものへの推奨は確認できません。一般用承認基準や他疾患の漢方治療情報では精神症状等との関連が記載されています。

精神不安、神経過敏、体力などを含めて判断し、不眠症だけを理由に選択しない。

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桂枝加竜骨牡蛎湯

承認効能・体質に応じた候補

一般用漢方製剤製造販売承認基準では、体力中等度以下で疲れやすく、神経過敏で興奮しやすいものの不眠症などが効能・効果として記載されています。

体力、疲れやすさ、神経過敏などを確認する。

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酸棗仁湯

承認効能・体質に応じた候補

一般用漢方製剤製造販売承認基準では、体力中等度以下で心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの不眠症・神経症が効能・効果として記載されています。

心身の疲れ、精神不安、体力などを確認する。

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甘麦大棗湯

承認効能・体質に応じた候補

一般用漢方製剤製造販売承認基準では、体力中等度以下で神経が過敏で驚きやすいものの不眠症などが効能・効果として記載されています。

神経過敏、驚きやすさ、体力などを確認する。

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🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

病気と治療の基本を知ったうえで、「自分に合う漢方薬を探してみたい」と思ったら、簡易漢方診断で症状や体質を整理してみましょう。

このツールは、病気そのものを確定診断するものではありません。回答内容から、漢方を考えるための参考情報を整理します。

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