消化器疾患

便秘

べんぴ

病気について知り、必要な治療を確認したうえで、漢方をどう考えるかを一緒に整理していきます。

🌿 この病気について

🌿 この病気は?

便秘は、排便回数だけでなく、便の硬さや排便時のいきみ、残便感、排便困難感などを含めて考える状態です。慢性便秘症には、機能性便秘症、便秘型過敏性腸症候群、薬剤性便秘症、症候性便秘症、器質性便秘症などがあり、原因や病態によって対応が異なります。

🔎 主な症状

便が硬い・コロコロしている、排便回数が少ない、強くいきむ、残便感がある、肛門付近でつかえる・出しにくい、用手的な介助が必要、といった症状があります。症状から「排便回数減少型」と「排便困難型」に分けて考えることもあります。

🩺 診断

診断では、排便回数や便形状だけでなく、いきみ、残便感、閉塞感・排便困難感、用手的介助などの排便周辺症状を確認します。便通異常症診療ガイドライン2023では、慢性便秘症を一次性(機能性便秘症、便秘型IBS、非狭窄性器質性便秘症)と二次性(薬剤性、症候性、狭窄性器質性便秘症)に分類し、症状面では排便回数減少型と排便困難型に分けています。診療では問診・身体診察に加え、必要に応じて血液検査、便潜血、腹部X線などを行い、病態に応じて追加検査を検討します。

⚠️ 鑑別・注意点

大腸癌などの狭窄性器質性疾患、腸管炎症、腸閉塞、直腸瘤などの便排出障害、薬剤性便秘、糖尿病・甲状腺機能低下症・強皮症・パーキンソン病などに伴う症候性便秘、便秘型IBSなど。排便習慣の急激な変化、血便、予期せぬ体重減少、貧血、発熱、持続する強い腹痛、嘔吐などの警告症状・危険因子がある場合は、自己判断で便秘薬や漢方薬を続けず、原因疾患の評価を優先します。

🏥 受診の目安

便秘が長く続く、生活に支障がある、便通が急に変化した、血便・強い腹痛・嘔吐・体重減少・貧血などがある場合は、医療機関に相談しましょう。特に高齢者、腎機能が低下している方、便秘の原因になり得る薬を使用している方、排便困難が強い方では、治療方法を医療機関や医療者と相談することが大切です。

💊 一般的な治療

便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症の治療方針を基本に、まず原因・病態を評価します。生活習慣改善・食事療法を行い、改善が不十分な場合は薬物療法を検討します。2023年の治療フローチャートでは、浸透圧性下剤(塩類下剤、糖類下剤、高分子化合物など)を軸に、改善が不十分な場合に上皮機能変容薬や胆汁酸トランスポーター阻害薬などを検討し、病態や症状に応じて刺激性下剤、外用薬、消化管運動機能改善薬、漢方薬などを代替・補助治療として位置づけています。

🌱 生活習慣・セルフケア

食事内容、水分摂取、運動、排便習慣などを見直します。ただし、すべての人に食物繊維や水分を一律に増やせばよいわけではなく、腹部症状や病態に応じて調整します。排便困難型では、生活習慣改善・食事療法に加えて、病態に応じた評価や骨盤底筋トレーニングなどが検討されます。

🍵 漢方の位置づけ

漢方薬は、便秘に対する選択肢の一つです。

ただし、便秘という病名だけで最初から漢方薬を選ぶのではありません。まず原因を確認し、必要な診断と標準治療を行い、生活習慣も見直します。

それでも症状が残る場合に、便の硬さ、腹部膨満、腹痛、体力、冷えなど、個々の特徴を見ながら漢方薬を検討します。

🧭 漢方を考えるときのポイント

疾患別方剤選択資料では、便秘について「体格・体力」と「便の硬さ」が主な判断軸として整理されています。体力・年齢や便の硬さなどを手掛かりに証を考えますが、これは漢方選択のための判断軸であり、現代医学的な便秘の診断や標準治療に代わるものではありません。

🔬 漢方のエビデンス・根拠

便秘に関するKCPG2025の抽出には、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加芍薬湯、大建中湯、大柴胡湯、桃核承気湯、防風通聖散、調胃承気湯などが含まれます。慢性便秘症診療ガイドライン2017のBQ5-7では一部の漢方薬が有効とされ、大黄甘草湯について二重盲検無作為化比較試験が紹介されています。大建中湯は慢性便秘症そのものへの適応ではなく、腹部膨満などに対して経験的に使用されるとの記載もあるため、疾患ページでは「便秘に使われる漢方」と「便秘症に適応を持つ処方」を混同しないようにします。

📖 ガイドライン上の漢方区分

便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症では、治療フローチャート上、漢方薬は「代替・補助治療薬」の位置づけです。KCPG2025では、慢性便秘症について「一部の漢方薬は有効」とする慢性便秘症診療ガイドライン2017のBQ5-7を抽出し、大黄甘草湯の二重盲検無作為化比較試験などを掲載しています。一方、KCPGの該当欄はn/aであり、KCPGの推奨度を根拠に方剤の優先順位を付けることはしません。

📌 参考ガイドライン

便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症

学会・作成団体:日本消化管学会・便通異常症診療ガイドライン作成委員会

発行年:2023

🍵 この病気に関連する漢方

この病気に関連して、資料に記載されている漢方薬を紹介しています。症状や体質、漢方医学的な状態などを確認しながら考えていきます。

大黄甘草湯

ガイドライン記載・候補

慢性便秘症のBQ5-7で有効性記載。KCPG上はn/a。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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麻子仁丸

ガイドライン記載・候補

慢性便秘症の頻用漢方として記載。硬くコロコロした便などの特徴が説明されている。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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潤腸湯

ガイドライン記載・候補

高齢者向けの頻用漢方として記載。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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桂枝加芍薬大黄湯

ガイドライン記載・候補

腹痛を伴う便秘、便秘型IBSが疑われる場合の記載あり。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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桂枝加芍薬湯

ガイドライン記載・候補

腹痛を伴う症状の整腸目的。大黄を含まない。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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大建中湯

ガイドライン記載・候補

腹部膨満を伴う便秘への経験的使用が記載。ただし慢性便秘症そのものへの適応はない。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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大柴胡湯

ガイドライン記載・候補

体力が充実し、上腹部の張りなどを伴う便秘の使用目標が記載。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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桃核承気湯

ガイドライン記載・候補

のぼせ・いらいらなどを伴う比較的体力のあるタイプの使用目標が記載。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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防風通聖散

ガイドライン記載・候補

肥満を伴う便秘で使用されるケースが多いとの記載。

疾患別方剤選択資料p.16-17の判断軸(体格・体力、便の硬さ)と組み合わせて、個別に検討します

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調胃承気湯

ガイドライン記載・候補

KCPG2025table_v1.1の慢性便秘症「日常臨床で頻用される漢方薬」に記載。推奨順位は付与しない。

慢性便秘症の頻用漢方として資料に記載。診断ツール上の選択ルールは別途根拠確認が必要。

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🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

病気と治療の基本を知ったうえで、「自分に合う漢方薬を探してみたい」と思ったら、簡易漢方診断で症状や体質を整理してみましょう。

このツールは、病気そのものを確定診断するものではありません。回答内容から、漢方を考えるための参考情報を整理します。

🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

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