越婢加朮湯 28

越婢加朮湯えっぴかじゅつとう【28】

🌿 この漢方を一言で言うと

むくみがあり、熱感や関節の腫れ・痛みなども気になるときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

少陽病期の実証

📖 解説

水分の偏りと炎症・熱感が重なっている場合に適しています。
この処方を考える目安として、体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、ときに尿量が減少するという体質・状態に、むくみ、関節の腫れ・痛み、熱感などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「むくみ」「関節の腫れ・痛み」「熱感」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

一般用漢方製剤の承認基準では、「体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、と きに尿量が減少するものの次の諸症: むくみ、関節のはれや痛み、関節炎、湿疹・皮膚炎、夜尿症、 目のかゆみ・痛み」が効能・効果として示されています。

🧩 方剤構成からみた特徴

越婢加朮湯は、麻黄、石膏、生姜、大棗、甘草、白朮の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、麻黄(発汗・鎮咳などを目的に用いられる)、石膏(清熱・消炎などを目的に用いられる)、生姜(発散・健胃・鎮吐などを目的に用いられる)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

『金匱要略』に収載・由来する処方として位置づけられる。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025では、「越婢加朮湯」を処方名として扱った記載があります。対象として記載されている例には、リンパ管奇形 (リンパ管 腫)、汎発性皮膚そう痒症、湿疹・皮膚炎群があります。記載の中にはエビデンスの強さ・推奨度が示されているものもあります(例:V: 記述研究 (症 例報告や症例集積 研究による)/C1: 行うことを考 慮してもよいが、 十分な根拠がない (質の劣るIII~ IV, 良質な複数の V, あるいは委員 会が認めるVI))。ただし、推奨やエビデンスの強さは対象となる病態やガイドラインによって異なるため、「KCPGに記載がある」ことだけで、この処方がすべての症状に有効と判断することはできません。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

この処方を使うときは、まず添付文書の用法・用量と使用上の注意を確認してください。特に、次のようなポイントは知っておくと安心です。

【甘草を含む処方】
甘草を含む漢方薬を長く使ったり、甘草を含む漢方薬をいくつも重ねたりすると、低カリウム血症を伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。むくみ、血圧の上昇、体重増加、手足のだるさ、筋力低下、足がつるなどの変化があれば、服用を続ける前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

【麻黄を含む処方】
麻黄を含む漢方薬では、体質や体調によって動悸、発汗、不眠、精神的な興奮などが気になることがあります。高血圧、心臓病、甲状腺機能亢進症、排尿に関する病気などがある場合や、交感神経を刺激する薬などを使っている場合は、服用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

また、他の漢方薬や生薬を一緒に使っている場合は、同じ生薬が重なっていないか確認しましょう。治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、自己判断で使い続けず、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。症状が続く場合や、いつもと違う症状が現れた場合も相談しましょう。

主な注意ポイント:甘草 / 麻黄

こんな症状に適しています

むくみ/関節の腫れ・痛み/熱感

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

麻黄 4-6、石膏 8-10、生姜 1(ヒネショウガを使用する場合 3)、 大棗 3-5、甘草 1.5-2、白朮 3-4(蒼朮も可)

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力中等度以上で、むくみがあり、のどが渇き、汗が出て、と きに尿量が減少するものの次の諸症: むくみ、関節のはれや痛み、関節炎、湿疹・皮膚炎、夜尿症、 目のかゆみ・痛み

色・におい・味

色
淡灰褐色
におい
特異なにおい
味
わずかに甘くて渋い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。