炙甘草湯 64

炙甘草湯しゃかんぞうとう【64】

🌿 この漢方を一言で言うと

動悸や脈の乱れが気になり、疲れやすい、体力が落ちていると感じるときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

少陽病期の虚証

📖 解説

心身の消耗に伴う動悸などが一緒にある場合に適しています。
この処方を考える目安として、体力中等度以下で、疲れやすく、ときに手足のほてりなどがあるという体質・状態に、動悸、脈の乱れ、疲れやすい、体力低下などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「動悸」「脈の乱れ」「疲れやすい」「体力低下」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

動悸や脈の乱れが気になり、疲れやすい、体力が落ちていると感じるときに適した漢方です。 体質や症状の組み合わせを踏まえて、処方全体として考えることが大切です。

🧩 方剤構成からみた特徴

炙甘草湯は、炙甘草、生姜、桂皮、麻子仁、大棗、人参、地黄、麦門冬、阿膠の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、炙甘草(甘草をそのまま、または蜂蜜につけて炙ったものを炙甘草と称する。甘草に比べ、補中益気の効能が強いとされる。)、生姜(発散・健胃・鎮吐などを目的に用いられる)、桂皮(発汗・解熱、芳香性健胃、駆風などを目的として用いられる生薬。漢方では感冒、身体疼痛、腹痛などを含む多くの処方に配合される。)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

『傷寒論』・『金匱要略』に関連する古典処方として位置づけられる。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025の表では、「炙甘草湯」を処方名として扱った記載を確認できませんでした。これは有効性が否定されたことを意味するものではありません。研究や診療ガイドラインの対象となる病態、証、研究方法によって得られる情報は異なるため、特定の症状に対するエビデンスを確認する場合は、該当する診療ガイドラインや学術論文を個別に確認することが大切です。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

漢方薬も医薬品です。用法・用量を守り、説明書に記載された使用上の注意を確認して使いましょう。医師の治療を受けている方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談することをおすすめします。症状が続く場合や、服用後に気になる変化が現れた場合は、自己判断で長く使い続けず相談しましょう。

医療用製品の添付文書では、偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、体重増加、筋力低下など)、ミオパチー(筋力低下、筋肉痛、こむら返りなど)などの副作用が記載されています。これらを思わせる症状が現れた場合は、自己判断で飲み続けず、服用を中止して医療機関へ相談してください。

主な注意ポイント:甘草

こんな症状に適しています

動悸/脈の乱れ/疲れやすい/体力低下

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

炙甘草 3-4、生姜 0.8-1(ヒネショウガを使用する場合 3)、桂 皮 3、麻子仁 3-4、大棗 3-7.5、人参 2-3、地黄 4-6、麦門冬 5-6、 阿膠 2-3

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力中等度以下で、疲れやすく、ときに手足のほてりなどがあ るものの次の諸症: 動悸、息切れ、脈のみだれ

色・におい・味

色
灰褐色
におい
特異なにおい
味
えぐい
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。