八味地黄丸 7

八味地黄丸はちみじおうがん【7】

🌿 この漢方を一言で言うと

冷えや体力の低下を背景に、腰や下半身のだるさ、排尿の不調などが気になるときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

太陰病期の虚証

📖 解説

年齢とともに体力が落ち、腰から下の不調が目立つ場合に適しています。
この処方を考える目安として、体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿で、ときに口渇があるという体質・状態に、腰や下半身のだるさ、冷え、排尿の不調、体力低下などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「腰や下半身のだるさ」「冷え」「排尿の不調」「体力低下」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

一般用漢方製剤の承認基準では、「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減 少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症: 下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、 残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善 (肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ」が効能・効果として示されています。

🧩 方剤構成からみた特徴

八味地黄丸は、地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、地黄(滋養・補血などを目的に用いられる)、山茱萸(補益・強壮・止汗・止尿などを目的に用いられる)、山薬(滋養・強壮・止瀉などを目的に用いられる)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

出典として「金匱要略」が記録されている処方です。古典では処方を症状や体質などと組み合わせて考える枠組みの中で用いられてきました。現代では、製品としての使用にあたっては、該当する承認・添付文書等の情報を確認することが大切です。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025では、「八味地黄丸」を処方名として扱った記載があります。対象として記載されている例には、下肢閉塞性動脈硬化症、老人性皮膚そう痒症、前立腺肥大症があります。記載の中にはエビデンスの強さ・推奨度が示されているものもあります(例:II: 1つ以上のラン ダム化比較試験に よる/(漢方薬全体と して) C1: 行うことを考 慮してもよいが、 十分な根拠がない (質の劣るIII~ IV, 良質な複数の V, あるいは委…)。ただし、推奨やエビデンスの強さは対象となる病態やガイドラインによって異なるため、「KCPGに記載がある」ことだけで、この処方がすべての症状に有効と判断することはできません。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

漢方薬も医薬品です。用法・用量を守り、説明書に記載された使用上の注意を確認して使いましょう。医師の治療を受けている方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談することをおすすめします。症状が続く場合や、服用後に気になる変化が現れた場合は、自己判断で長く使い続けず相談しましょう。

主な注意ポイント:附子

こんな症状に適しています

腰や下半身のだるさ/冷え/排尿の不調/体力低下

出典

金匱要略

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

地黄 5、6-8、山茱萸 3、3-4、山薬 3、3-4、沢瀉 3、3、 茯苓 3、3、牡丹皮 3、3、桂皮 1、1、加工ブシ 0.5-1、0.5-1 (左側の数字は湯、右側は散)

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減 少又は多尿で、ときに口渇があるものの次の諸症: 下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、 残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善 (肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ

色・におい・味

色
灰褐色
におい
特異なにおい
味
苦い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。