代謝・内分泌疾患

肥満症

ひまんしょう

病気について知り、必要な治療を確認したうえで、漢方をどう考えるかを一緒に整理していきます。

🌿 この病気について

🌿 この病気は?

肥満は、体重が多いことだけを意味するものではありません。日本肥満学会では、肥満を「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態」として捉え、BMIなどを用いて判定します。

そのうえで、肥満に関連する健康障害がある場合や、内臓脂肪の蓄積によって健康への影響が大きい場合などに「肥満症」として、治療が必要な状態として考えます。

肥満症では、体重の数字だけを見るのではなく、血圧・血糖・脂質、肝臓、睡眠、関節などへの影響も含めて、その人にとってどのような健康上の問題が起きているのかを確認することが大切です。

🔎 主な症状

体重増加、腹囲の増加、いびき・睡眠時の呼吸の問題、息切れ、膝や腰への負担などがみられることがあります。

ただし、肥満そのものでは自覚症状が少ないこともあります。高血圧、糖代謝異常、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸、関節への負担など、肥満に関連する健康障害がきっかけになって見つかることもあります。

🩺 診断

まず身長・体重からBMIを確認し、肥満の程度を評価します。そのうえで、腹囲や内臓脂肪の蓄積、血圧、血糖、脂質、肝機能などを確認し、肥満に関連する健康障害がないかを調べます。

また、睡眠時無呼吸、内分泌疾患、薬剤による体重増加など、体重増加の背景に別の病気や要因がないかを確認することもあります。

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、肥満の判定と肥満症の診断を分けて考えています。

⚠️ 鑑別・注意点

体重が急に増えた、むくみや息苦しさがある、強い眠気やいびき・睡眠中の呼吸停止を指摘される、血圧や血糖などの異常を指摘された、膝や腰の痛みで日常生活に支障がある、といった場合は、単にダイエットの問題として考えず医療機関で相談しましょう。

また、食事量や生活習慣を大きく変えていないのに体重が増え続ける場合は、病気や薬剤など別の原因がないか確認することが大切です。

🏥 受診の目安

健康診断などで肥満や関連する検査値の異常を指摘された場合、または体重増加が続いている場合は、内科などで相談することをおすすめします。

特に、息苦しさ、胸痛、強いむくみ、意識の変化など急な症状がある場合は、肥満症として自己管理を続けるのではなく、症状に応じた医療機関での評価を優先します。

💊 一般的な治療

肥満症の治療では、食事療法・運動療法・行動療法などの生活習慣改善を基本に、肥満の程度、健康障害、これまでの取り組みなどを踏まえて治療方針を決めます。

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、減量によって肥満に関連する健康障害を改善することを治療の重要な目的としており、必要に応じて薬物療法や外科療法も検討します。

体重を一度に大きく減らすことだけを目標にするのではなく、健康障害の改善や、その後も続けられる生活習慣を作ることが重要です。

🌱 生活習慣・セルフケア

食事、身体活動、睡眠、飲酒などの日常生活を一つずつ見直します。

食事では、極端な食事制限ではなく、食事量・間食・夜遅い時間の食事など、自分の生活の中で続けやすいところから調整します。身体活動は、現在の体力や関節の状態に合わせて、歩行など無理のない活動から始めます。

体重だけでなく、腹囲、血圧、血糖などの変化も一緒に確認すると、生活習慣を続ける目安になります。睡眠不足や生活リズムの乱れも見直します。

🍵 漢方の位置づけ

漢方薬は、肥満症に対する治療の中で、必要に応じて検討される選択肢の一つです。

ただし、「肥満だから防風通聖散」というように、病名だけで一律に方剤を決めるものではありません。まず肥満症の診断と、食事・運動などの標準的な治療を確認します。

そのうえで、体力、腹部の脂肪のつき方、便秘、疲れやすさ、むくみ、発汗など、本人の状態を確認しながら漢方を考えます。

🧭 漢方を考えるときのポイント

漢方を考える場合は、まず肥満症として治療が必要な健康障害がないかを確認し、食事・運動・行動などの生活習慣改善を基本に考えます。

そのうえで、一般用漢方製剤製造販売承認基準では、防風通聖散に「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」の肥満症などの効能・効果が示されています。防已黄耆湯、大柴胡湯なども肥満症との関連で選択肢として整理されています。

ただし、これらは効能・効果や漢方医学的な使用目標を示すものであり、肥満症の標準治療を置き換えるものではありません。

🔬 漢方のエビデンス・根拠

KCPG2025 H1には、防風通聖散について、食事・運動療法単独群と比較して6か月で3.4kgの減量、内臓脂肪量およびウエスト周囲長の減少を報告した研究が収載されています。また、下痢5%、肝障害1~2%との副作用情報も記載されています。

この情報は防風通聖散について研究結果があることを示すものであり、すべての肥満症患者に有効であることや、標準治療より優れることを意味するものではありません。

📖 ガイドライン上の漢方区分

肥満症については、「肥満症診療ガイドライン2022」に関連する漢方情報がKCPG2025 H1に収載されています。

KCPG2025 H1では、防風通聖散について、肥満症治療の薬物療法の項に研究結果が記載されています。一方、KCPG上のStrength of Evidence/Strength of Recommendationはn/aです。そのため、この評価を方剤の順位付けには使用しません。

📌 参考ガイドライン

肥満症では「体重を減らすこと」だけをゴールにせず、肥満に関連する健康障害を改善し、無理なく続けられる生活習慣を整えることを重視します。漢方はその治療の一部として、状態に応じて検討します。

🍵 この病気に関連する漢方

この病気に関連して、資料に記載されている漢方薬を紹介しています。症状や体質、漢方医学的な状態などを確認しながら考えていきます。

防風通聖散

主要候補

肥満症診療ガイドライン2022の薬物療法Q5に関連して、KCPG2025 H1に防風通聖散の研究結果が収載されている。KCPG上のStrength of Evidence / Recommendationはn/a。

体力、腹部の皮下脂肪、便秘の有無などを確認し、標準治療と並行して個別に検討する。

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防已黄耆湯

候補

体力中等度以下で疲れやすく汗をかきやすい傾向があり、いわゆる水ぶとりの肥満症が効能・効果として示される。

体力、疲れやすさ、発汗、むくみなどを確認する。

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大柴胡湯

候補

体力が充実し、脇腹からみぞおちにかけて苦しく便秘傾向があるものの肥満症などが効能・効果として示される。

体力、腹部症状、便秘傾向などを確認する。

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🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

病気と治療の基本を知ったうえで、「自分に合う漢方薬を探してみたい」と思ったら、簡易漢方診断で症状や体質を整理してみましょう。

このツールは、病気そのものを確定診断するものではありません。回答内容から、漢方を考えるための参考情報を整理します。

🧭 自分に合う漢方薬を探してみる

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