安中散 5

安中散あんちゅうさん【5】

🌿 この漢方を一言で言うと

胃腸が弱く、胃痛や腹痛を中心に、胸やけやげっぷ、胃もたれなどが気になるときに考えられる漢方です。

🧭 推奨される証

太陰病期・虚証(寒虚証・湿証)

📖 解説

安中散は、胃腸が弱く、胃痛や腹痛があり、胸やけ、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐き気などを伴うときに考えられる漢方です。

一般用漢方製剤の承認基準では、体力中等度以下で、腹部の力が弱く、胃痛または腹痛があり、胸やけやげっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐き気などを伴う状態が対象となっています。

「胃が痛い」という症状だけを見るのではなく、胃痛と一緒にどんな症状があるのか、胃腸が弱っていないか、冷えとの関係はないかなどを合わせて考えることがポイントです。

🔎 この漢方を考えるポイント

  • 🌿 胃痛や腹痛がある
  • 🌿 胃腸が弱い
  • 🌿 胃もたれがある
  • 🌿 胸やけがある
  • 🌿 げっぷが出る
  • 🌿 食欲がない
  • 🌿 吐き気がある
  • 🌿 冷えで胃の症状が気になりやすい

🌱 この処方の特徴

胃腸が弱く、胃痛や腹痛を中心に、胸やけやげっぷ、胃もたれなどが気になるときに考えられる漢方です。 一般用漢方製剤の承認基準では、「体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、 ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐 などを伴うものの次の諸症: 神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱」が効能・効果として示されています。

🧩 方剤構成からみた特徴

安中散は、桂皮、延胡索、牡蛎、茴香、縮砂、甘草、良姜の7種類の生薬から構成されています。

桂皮や茴香、縮砂、良姜など、芳香性や温める方向に働く生薬が含まれ、胃腸の冷えや機能低下に伴う胃痛・腹痛などを考える際に用いられます。

延胡索は痛みに関連して用いられる生薬で、牡蛎も含め、それぞれ異なる特徴を持つ生薬を組み合わせていることが、安中散の構成上の特徴です。

甘草も含まれているため、他の甘草含有漢方薬などを併用する場合には、生薬の重複にも注意が必要です。

📖 古典での位置づけ

出典として「和剤局方」が記録されている処方です。古典では処方を症状や体質などと組み合わせて考える枠組みの中で用いられてきました。現代では、製品としての使用にあたっては、該当する承認・添付文書等の情報を確認することが大切です。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本消化器病学会の「機能性ディスペプシア(FD)診療ガイドライン2021」には、FDの治療における漢方薬についてのCQがあります。KCPG 2025の表でも「安中散」を処方名として扱ったFDの記載が確認できますが、安中散自体の推奨や有効性を強く示す記載ではありません。FDなどの胃症状に対して漢方薬が検討される場面はありますが、安中散がすべての胃症状に有効という意味ではありません。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

この処方を使うときは、まず添付文書の用法・用量と使用上の注意を確認してください。特に、次のようなポイントは知っておくと安心です。

【甘草を含む処方】
甘草を含む漢方薬を長く使ったり、甘草を含む漢方薬をいくつも重ねたりすると、低カリウム血症を伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。むくみ、血圧の上昇、体重増加、手足のだるさ、筋力低下、足がつるなどの変化があれば、服用を続ける前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

また、他の漢方薬や生薬を一緒に使っている場合は、同じ生薬が重なっていないか確認しましょう。治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、自己判断で使い続けず、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。症状が続く場合や、いつもと違う症状が現れた場合も相談しましょう。

主な注意ポイント:甘草

こんな症状に適しています

胃痛/胃もたれ/食欲不振/冷えで胃の症状が気になる

出典

和剤局方

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

桂皮 3-5、延胡索 3-4、牡蛎 3-4、茴香 1.5-2、縮砂 1-2、甘草 1-2、良姜 0.5-1

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、 ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐 などを伴うものの次の諸症: 神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱

色・におい・味

色
淡褐色
におい
特異なにおい
味
わずかに苦い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。