辛夷清肺湯 104

辛夷清肺湯しんいせいはいとう【104】

🌿 この漢方を一言で言うと

鼻づまりや鼻の炎症が続き、膿のような鼻水などが気になるときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

少陽病期の虚実間証

📖 解説

鼻の熱感や炎症を伴う慢性的な鼻症状に適しています。
この処方を考える目安として、体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うという体質・状態に、鼻づまり、膿性の鼻水、鼻の炎症・熱感などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「鼻づまり」「膿性の鼻水」「鼻の炎症・熱感」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

鼻づまりや鼻の炎症が続き、膿のような鼻水などが気になるときに適した漢方です。 体質や症状の組み合わせを踏まえて、処方全体として考えることが大切です。

🧩 方剤構成からみた特徴

辛夷清肺湯は、辛夷、知母、百合、黄芩、山梔子、麦門冬、石膏、升麻、枇杷葉の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、辛夷(発散・通鼻などを目的に用いられる)、知母(清熱・消炎などを目的に用いられる)、百合(鎮咳・滋養などを目的に用いられる)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

『外科正宗』に収載・由来する処方として位置づけられる。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025では、「辛夷清肺湯」を処方名として扱った記載があります。対象として記載されている例には、通年性アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎があります。ただし、推奨やエビデンスの強さは対象となる病態やガイドラインによって異なるため、「KCPGに記載がある」ことだけで、この処方がすべての症状に有効と判断することはできません。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

この処方を使うときは、まず添付文書の用法・用量と使用上の注意を確認してください。特に、次のようなポイントは知っておくと安心です。

【山梔子を含む処方】
山梔子を含む漢方薬を長期間使用すると、まれに腸間膜静脈硬化症(腸管静脈硬化症)が起こることがあります。特に長期使用で知られており、腹痛、下痢、便秘、腹部の張りなどが繰り返す場合は、単なる胃腸の不調と考えて飲み続けず、服用している漢方薬を伝えて医師などに相談しましょう。

【黄芩を含む処方】
黄芩を含む漢方薬では、まれに間質性肺炎や肝機能障害などの重い副作用が報告されています。服用中に、発熱、空せき、息苦しさなどが現れた場合や、強いだるさ、黄疸、褐色尿などが気になる場合は、服用を中止して早めに医療機関へ相談しましょう。

また、他の漢方薬や生薬を一緒に使っている場合は、同じ生薬が重なっていないか確認しましょう。治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、自己判断で使い続けず、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。症状が続く場合や、いつもと違う症状が現れた場合も相談しましょう。

主な注意ポイント:黄芩 / 山梔子

こんな症状に適しています

鼻づまり/膿性の鼻水/鼻の炎症・熱感

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

辛夷 2-3、知母 3、百合 3、黄芩 3、山梔子 1.5-3、麦門冬 5-6、 石膏 5-6、升麻 1-1.5、枇杷葉 1-3

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの 次の諸症: 鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)

色・におい・味

色
黄褐色
におい
特異なにおい
味
苦い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。