滋陰至宝湯 92

滋陰至宝湯じいんしほうとう【92】

🌿 この漢方を一言で言うと

慢性的なせきや痰が続き、体力が落ちて食欲も低下しているようなときに適した漢方です。

🧭 推奨される証

少陽病期の虚証

📖 解説

呼吸器の症状と胃腸の弱りが一緒に気になる場合に適しています。
この処方を考える目安として、体力虚弱なという体質・状態に、慢性的なせき、痰、食欲不振、体力低下などの症状が組み合わさっていることが挙げられます。
漢方では、同じ症状があっても、体力や体質、症状の組み合わせ、経過などによって適する方剤が変わります。そのため、病名や症状名だけで決めるのではなく、その人のからだ全体の状態を合わせて考えることが大切です。
特に「慢性的なせき」「痰」「食欲不振」「体力低下」など、いくつかの症状が重なっているかどうかを確認すると、この処方が自分の状態に近いか考えやすくなります。

🌱 この処方の特徴

慢性的なせきや痰が続き、体力が落ちて食欲も低下しているようなときに適した漢方です。 体質や症状の組み合わせを踏まえて、処方全体として考えることが大切です。

🧩 方剤構成からみた特徴

滋陰至宝湯は、当帰、芍薬、白朮あるいは蒼朮、茯苓、陳皮、柴胡、知母、香附子、地骨皮、麦門冬、貝母、薄荷葉、甘草の生薬から構成されています。主な構成生薬を見ると、当帰(補血・調経などを目的に用いられる)、芍薬(鎮痛・鎮痙などを目的に用いられる)、茯苓(利尿・鎮静などを目的に用いられる)など、それぞれ異なる特徴を持つ生薬が組み合わされています。実際の使い分けでは、生薬単独の働きだけでなく、処方全体と体質・症状を合わせて考えることが大切です。

📖 古典での位置づけ

出典として「万病回春」が記録されている処方です。古典では処方を症状や体質などと組み合わせて考える枠組みの中で用いられてきました。現代では、製品としての使用にあたっては、該当する承認・添付文書等の情報を確認することが大切です。

🔎 現代の情報・エビデンス

日本東洋医学会のKCPG 2025の表では、「滋陰至宝湯」を処方名として扱った記載を確認できませんでした。これは有効性が否定されたことを意味するものではありません。研究や診療ガイドラインの対象となる病態、証、研究方法によって得られる情報は異なるため、特定の症状に対するエビデンスを確認する場合は、該当する診療ガイドラインや学術論文を個別に確認することが大切です。

⚠️ 使用するときに知っておきたいこと

この処方を使うときは、まず添付文書の用法・用量と使用上の注意を確認してください。特に、次のようなポイントは知っておくと安心です。

【甘草を含む処方】
甘草を含む漢方薬を長く使ったり、甘草を含む漢方薬をいくつも重ねたりすると、低カリウム血症を伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。むくみ、血圧の上昇、体重増加、手足のだるさ、筋力低下、足がつるなどの変化があれば、服用を続ける前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

【附子を含む処方】
附子を含む漢方薬は、体を温める方向の処方などに用いられますが、用法・用量を守って使うことが大切です。服用中に、舌や手足のしびれ、動悸、吐き気など、いつもと違う症状が現れた場合は、服用を続けず医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

また、他の漢方薬や生薬を一緒に使っている場合は、同じ生薬が重なっていないか確認しましょう。治療中の病気がある方、妊娠中・授乳中の方、高齢の方などは、自己判断で使い続けず、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。症状が続く場合や、いつもと違う症状が現れた場合も相談しましょう。

主な注意ポイント:甘草 / 附子

こんな症状に適しています

慢性的なせき/痰/食欲不振/体力低下

出典

万病回春

成分・分量(一般用漢方製剤承認基準)

当帰 2-3、芍薬 2-3、白朮あるいは蒼朮 2-3、茯苓 2-3、陳皮 2-3、 柴胡 1-3、知母 2-3、香附子 2-3、地骨皮 2-3、麦門冬 2-3、貝 母 1-2、薄荷葉 1、甘草 1

効能・効果(一般用漢方製剤承認基準)

体力虚弱なものの次の諸症: 慢性のせき、たん、気管支炎

色・におい・味

色
淡褐色
におい
特異なにおい
味
苦い
📚 参考資料

本ページの解説は、公開されている学会・公的機関等の情報を参考に整理しています。医薬品の使用にあたっては、最新の添付文書等もご確認ください。